DIVED in VIDEO POOL

ウィニペグ・ビデオプールでのレジデンシーとその作品発表を無事おえた。私の滞在はレジデンシー・アーティストとして作品制作が主たる使命である。 そのため作品発表の日時や内容の広報など行き届いていない感があり、少々不安を抱いてた。しかし20日(土)の作品発表には40人ほどの人が足を運んでく れ、制作兼発表スペースとなったウィニペグ・フィルム・グループ(WFG)のスタジオは満員となった。

『暴れ!こいのぼり』はGOLDENSHITのメンバーが新村と私の2人になってから、音響と撮影の役をになう作家をその都度みつけて再演してき た。ウィニペグでのパフォーマンスではGS史上初めて母国語を異にする作家たち、ブライアン・ベサント(撮影)とカーティス・ウォーカー(音響)、との共 演となったが、最高に近い仕上がりを本番に演じることができたいへん満足のいくものとなった。

発表演目は、現地作家とのコラボレーションによって作られた『Image for Sound』と、GOLDENSHITの『暴れ!こいのぼり』のおよそ1時間。両演目ともに好評であったが、特に『暴れ!こいのぼり』については多くの人から絶賛をいただいた。

写真は本番直前のリハーサルで撮影されたもの。
ウィニペグ在住の作家ブライアン・ベサントと日本から参加したGOLDENSHITの新村雄亮の両氏と私がやり取りしている様。

それと『暴れ!こいのぼり』のパートCNパフォーマンス中の様子だ。

機材倉庫から

ウィニペグ・ビデオプールの施設や機材を利用するには会員登録が必要だ。ビデオプールのレジデンシー・アーティストである私は「短期特殊会員」のような待遇をいただいて、現地会員とともに施設を共有することになる。

機材や施設の利用は予約制である。私もその例から漏れない。その「会員の洗礼」は比較的早く私に訪れた。共同制作するスタジオから週末3日間追い出 されてしまったのだ。折しも、共同作業をする作家ブライアン・ベサントとカーティス・ワーカーに面会し意見を交換して、いざ機材を使って実験しはじめよう としたときであった。

そこで共同制作の屋内実施計画を変更して屋外で継続することにした。各作家が撮影した素材を週明けにもちより、作品に向け実験し構成することにしたのだ。写真はスタジオに隣接する機材倉庫で、撮影した素材を実験している様子だ。

「会員の洗礼」により共同制作の思惑がすこしずれたが、そのズレが、機材倉庫の新たな物色へと再びずれ、面白いものを発見したのだった。

ウェーブフォーム・モニターという映像信号を波形で表現する機材だ。

うむ、なにかが生まれそうな予感がする。

HUMMING EXPERIMENTS

息のつづくかぎりハミングする。息つぎをするときだけ音色をかえていい。そんな単純な発音の規則をつくり、それを大勢の人で一斉にコーラスする。こ の作品はビデオプール現会長のジョン(John Coutanche)と前理事長のヴァル(Val Klassen)の共同実験作品。

コーラスで作られる音環境は、折り重なるハミングの振動がまるで地震の前触れかのようにつづく。そして、聞く側の気持ちをつかんだまま、そのまま終 わる。『2001年宇宙の旅』の猿人が道具を発見するシーン、その背後に流れるコーラスにその音はよく似ている。ある法則にしたがい音を奏でることはジョ ン・ケージや武満徹の音楽などが有名だ。けれど同時代もしくは少し遅れてでも、ある手法が作家の実験や経験を通じて発見されることがあるんだな。そんなこ とをジョンとヴァルという先輩たちの作品を観て聞いて意見を交わしつつ考えた。